top of page
検索
執筆者の写真yusuke murakami

シムシャール・パミール② Shimshal Pamir(パキスタン)

・ アルバブ・プリエン→シェイジェラブ


いよいよシムシャール・パミールへの拠点となる村シェイジェラブに向かう。

自分の息と足音、風以外は無音の世界である。

赤土の坂を登りきると緩やかな道が続く。途中でヤクの群れが道を塞いでしまう。

ヤク飼いのシムシャーリー(シムシャール人)がワディムと会話を交わす。






















もう9月末。10月になると道が凍結し牧草地の天国シムシャールパス(峠)からシムシャール村に帰れなくなるので急いで帰宅中のヤクさんたち。






















しばらく歩くと前方から2人のシムシャーリーがこちら側へ歩いてくるのが見えた。

どうやらワディムがここを通るのを事前に知っていたようだ。

荷物を分担してもらい、ようやく30kg近い荷物から解放され表情が明るくなった。

あの重量の荷物を背負いながら険しい崖路を歩くだけでも信じがたいのに、靴や装備がそこらへんの売店のおじさんみたいなクオリティなのがすごい。

もちろん、ゴアテックスやトレッキングシューズなんて履いていない。

そういう自分も穴の空いた靴とスカルドゥのバザールで800円ぐらいで買ったジャケットを着ているのだが・・・




ようやくシェイジェラブに到着。人が住んでいる最後の集落。

正確に言えばシムシャールパスの先にあるシューウェルトにも小屋があるが、今の時期になると人は住んでいない。これまで33kmほどの距離を3日かけて歩いてきたが、地元民は1日で歩く人もいるらしい。ネパールのシェルパと似たようなもので、山岳民族は逞しい。

次行くときはルートも何となく覚えているので1回チャレンジしてみたいものだ。


シェイジェラブの小屋は中に4人しか入れないため、ワディムと母親、祖母、相棒の4人が小屋の中。自分だけ小屋の外のテントで寝ることに・・・。


・ シェイジェラブ→シムシャール峠→シューウェルト

朝起きてテントを開けると一面雪景色。

夜中に雪が降っていたようだ。はしゃいで写真を撮りまくる。




朝食を済ませてから、荷物を軽量にして最後の目的地シューウェルトに向かう。

今までの地名はワヒ語、ウルドゥー語なのに、最終地点のシューウェルト(Shuwerth)だけ明らかにドイツ語っぽいことに違和感を覚える。


1時間ほど緩やかな登りで、丘の上の牧草地に出る。

2時間ほど現実離れした一面真っ白な地平線に向かって歩いて行く。横を見るとヤクがそこらで草を食んでいる。




標高4700mのシムシャールパス(峠)を超え、シューウェルトに到着。



シムシャールパスの湖。真ん中左寄りに雪が積もってる山がミングリク・サール(標高6000mほど)。時間があれば登りたかった。



      シューウェルトからさらに奥地(中国国境方面)を眺める



本音を言えばここからさらに奥へ進み、ゆるやかに南下しながらスノーレイクを通りK2のベースキャンプまで行くという壮大かつ長大なルートを歩いてみたかったが、次回に取っておくことにする。このルートを踏破するにはここからさらに1ヶ月はかかるだろう。


実は当初、スカルドゥからK2までのトレッキング(1ヶ月)を計画していたのだが、その為の資金として財布に入れていた現金25万のうち大半をエジプト滞在時に盗まれてしまうという事件があった。この先の旅のことを考えると(資金的に)K2までのトレッキングをツアーで行くことは事実上不可能になったので、自力で行こうとフーシェという山奥の村に滞在していたのが1週間前のこと。


荷物をパッキングして宿の主人に「K2かコンコルディアのキャンプサイトまで行ってくるわ」と告げると

宿の主人が「それは無茶だ」「ガイドを雇わないといけない」「峠を越えるにはパーミットがいる」などと散々言われ、周りの村人を呼んで制止しようするので、それも押し切り1人で行こうとしたら尾行されたり色々めんどくさいことがあったので結局諦めたのだった。


文章にして書くと完全に私が問題児みたいになっているが、そんな大事にはなっていないのでご心配なく。

パキスタンは物価も安く山岳風景に関して世界トップクラスなのにK2まで行くのが本当に難しい。いや、金払えば行けるのよ、25~30万ぐらい。

ただアコンカグア(南米最高峰)ですら15万ぐらいあれば登れるのに、トレッキングで25万~30万ってのはどうなんだ?登山ではなく、ベースキャンプまで歩いて行くだけなのにエライ強気な値段設定をしているものだから、こちらもついつい強気になって「じゃあ、1人で行ってやろうやないか」となるのである。誰も悪くない。自然の摂理である。


そんなわけで、本来の目的地ではなかったが、紆余曲折を経て到達できたシムシャールパミールは素晴らしい場所だった。

この辺りは無数のトレッキングルートがあり、今回のルートはその1つに過ぎないので、機会があればもっと歩き周ってみたい。


















      シューウェルトからシェイジェラブ方面を眺める


なおK2まで行くには基本パーミット(180ドル)が要る。スカルドゥからアスコーレ経由で片道10日ほどだったかな。登山家は登山が本番だからポーターやガイドを雇うだろうけど、スカルドゥ→アスコーレ→コンコルディア→K2→ゴンドゴロ峠→フーシェまで3週間~1ヶ月ほどを自力で行った人とかいないのか気になるところである。



コメント


bottom of page